皆さん、こんにちは!
「AIにお任せください!」という言葉、最近よく聞きますよね。まるで魔法のように問題を解決してくれる…そんなイメージがありませんか?
でも、もしそのAIの魔法の正体が、舞台裏でたくさんの人々が汗水たらして「手作業」で頑張っている姿だったら…?
今回は、そんな驚きのニュース、インドのAIスタートアップ企業「Builder.ai」にまつわる、笑えてちょっぴり皮肉のこもったお話です。「AIだと思っていたら、実は人力だった!」という、マンガのような本当の話を、誰にでも分かりやすく解説します!
AIブームの落とし穴!キラキラ企業の正体は「人力」だった

結論から言うと、このBuilder.aiという企業、「最先端AIがアプリを自動で作ります!」と宣伝しておきながら、その実態はインドにいる約700人のエンジニアによる「全力の手作業」だったことが発覚しました。
マイクロソフトのような超有名企業も支援し、一時は評価額が15億ドル(当時のレートで約2250億円!)にもなったキラキラAIスタートアップ。その輝きの裏に、とんでもない秘密が隠されていたのです。
この一件は、単に「一つの会社が嘘をついていた」という話ではありません。今のAIブームが持つ大きな可能性(光)と、その裏に潜む過度な期待や偽り(闇)を象徴する出来事です。
AIという言葉が流行りすぎて、中身が伴わないのに「AI搭載!」とアピールする「AIウォッシング(AIを使っているフリ)」という問題。そして、私たちの「AIってすごい!」という純粋な期待が、いかに簡単に裏切られてしまうか。この事件は、そんな現代の教訓を私たちに教えてくれます。
なぜ「人力AI」は生まれた?ブームが生んだ2つの理由
では、どうしてこんな「人力AI」なんてものが生まれてしまったのでしょうか?理由は大きく2つあります。
理由1:AIブームに乗っかり、投資家からお金を集めたかったから

最大の理由は、やはり「AIブームに乗りたかった」からです。
2020年代に入り、世界は空前のAIブーム。「AIを使っています」と言うだけで、企業の価値は急上昇し、投資家から巨額のお金を集めやすくなりました。
Builder.aiも「AIファースト」を掲げ、「ナターシャ」という名のAIアシスタントを会社の顔にしました。顧客が「こんなアプリが欲しいな」と話しかけると、ナターシャが全自動でアプリを組み立ててくれる…という夢のようなストーリーを語り、見事に大金を手に入れたのです。
しかし、その実態は「AIに見せかけた劇場」。AIという魅力的な仮面を被ることで、顧客と投資家を惹きつけたかった、というのが本音でしょう。
理由2:インドの「豊富な人材」が力技を可能にしたから

もう一つの理由は、インドならではの環境です。
インドには、優秀なITエンジニアが世界で最も多いと言われるほど豊富に存在します。そして、欧米に比べて人件費を抑えられるという特徴もあります。
この「優秀な人材が豊富で、コストも抑えられる」という背景が、「よし、700人集めてAIのフリをさせよう!」という、あまりにも大胆な力技を可能にしてしまった一因と考えられます。
インドには「ジュガール(Jugaad)」という、「あり合わせのもので工夫してなんとかする」という素晴らしい言葉があります。しかし、このケースではその精神が悪い方向に働いてしまい、顧客や投資家を欺くための「ごまかしの力技」になってしまった、と言えるかもしれません。
笑えるけど笑えない!人力AIの驚きの具体例
この「人力AI」の実態は、知れば知るほど驚きと笑いがこみ上げてきます。
具体例1:AIのフリをするための涙ぐましい(?)努力「AIシアター」

顧客とのやり取りは、AIアシスタント「ナターシャ」が行う…はずでした。しかし、その正体はインドのオフィスで働くエンジニアたち。彼らは、まるでAIが仕事をしているかのように見せかけるため、驚くべき偽装工作を行っていました。
😥 わざと返事を遅らせる:「ナターシャが考えています…」という雰囲気を出すため、わざと応答を遅らせていた。
😥 夜勤シフトの隠語:開発者の間では「ナターシャ」は、夜勤シフトを意味する隠語だった。
まるで18世紀に「チェスを指す自動人形」として登場し、実は中に人間が隠れていた「メカニカル・ターク」の現代版。技術が進化しても、人間が考えることはあまり変わらないのかもしれませんね。
具体例2:700人もいるのに…人間はAIの代役にもなれなかった皮肉

最も皮肉なのは、これだけの人員を投入して「AIのフリ」をしていたにもかかわらず、納品されるアプリの品質はかなり低かったという点です。
バグだらけ、約束した機能が動かない、メンテナンスが難しい…など、顧客からの不満が続出。「あまりの出来の悪さに、本当にAIが作ったみたいだ」と揶揄されるほどだったとか。
これは、700人ものエンジニアが、本来の実力を発揮するのではなく、「AIのように振る舞う」という不自然で非効率な働き方を強いられていたからかもしれません。結果として、「人間が束になっても、質の悪いAIの代わりすら務まらなかった」という、笑うに笑えない現実が浮き彫りになりました。
しかも、AI「ナターシャ」の売りが「ノーコード開発」だったのは最高に皮肉が聞いていますよね。
具体例3:「AIウォッシング」の末路…キラキラ企業のあっけない幕切れ

Builder.aiの問題は、AI偽装だけではありませんでした。
売上の見込みを実際より300%以上も多く見せかけたり、実態のない取引で売上を水増ししたりと、深刻な財務不正にも手を染めていたのです。
AIというキラキラした看板で巨額の資金を集め、その嘘を塗り固めるために次々と不正を重ねる…。「AIウォッシング」の危険な罠にハマった企業の典型例と言えるでしょう。
結局、これらの問題がすべて明るみに出て、同社は倒産に追い込まれました。
AIブームに踊らされないために。そしてAIの本当の正体とは…

Builder.aiのジェットコースターのような物語は、私たちに多くのことを教えてくれます。
AIという言葉が持つ魔法の力に、世界中が熱狂している今。私たちは「AI搭載」という言葉だけを鵜呑みにせず、「それって本当?」「実績はあるの?」と一歩引いて冷静に考える目を持つことが、これまで以上に重要になっています。
そして企業側も、「最初から正直であること」が、遠回りのように見えて、実は最も信頼を勝ち取る方法だということを、この事件は教えてくれます。
さて、これまでの話を振り返ると、Builder.aiにとっての「AI」とは、一体何だったのでしょうか…?
もしかしたら、彼らにとっての「AI」は…
“Artificial Intelligence”(人工知能)ではなく、”All Indian”(全員インド人)だったのかもしれませんね。
コメント