私はもともとGemini Proをかなり気に入って使っていました。
ChatGPTよりGeminiを開くことも多く、新しいモデルが出るたびに性能を試すのも楽しみでした。
ところが2026年現在、状況は大きく変わっています。
画像生成では今でもGeminiをよく使います。しかし文章作成、情報収集、分析、プログラミングなど、それ以外の用途ではほとんどChatGPTを使うようになりました。
今「生成AIをひとつだけ契約するなら何がおすすめ?」と聞かれても、Geminiを真っ先にすすめるのは難しいと思います。
Google AI Proプランについてくる、Google Driveの5TBストレージやGmail、GoogleドキュメントなどGoogleのエコシステムがなければ、すでに完全に乗り換えていたかもしれません。
なぜ、ここまで変わってしまったのでしょうか。
そして1年後、GeminiはChatGPTやClaudeに再び追いつくことができるのでしょうか。
今回は、現在のGeminiが置かれている状況から考えてみます。
Gemini Proはなぜ更新されないのか
まず気になるのが、Geminiのフラッグシップモデルの更新頻度の少なさです。
Googleは2026年2月19日にGemini 3.1 Proを発表しました。複雑な推論や高難度な作業を担うモデルとして投入されたものです。
ところが、それから半年以上が経過してもProモデルの大きな更新はありません。
その間、OpenAIやAnthropicはフラッグシップモデルを継続的に投入しています。
実際、Googleは次世代のGemini 3.5 Proを2026年6月ごろに投入するとみられていましたが、現在も正式公開されていません。
Gemini 3.5 ProはGoogle内部で設定されていた性能目標に届かず、特にソフトウェアコーディング能力が課題になっていると報じられています。
さらにGoogleでは組織再編も進められています。
ネット上では「次世代Geminiを大幅に再設計しているのではないか」という話まで出ていますが、そこまで確認できる公式情報はありません。
ただし、少なくとも次期Gemini Proの開発が予定どおり進んでいない可能性は高そうです。
Flashばかり進化している現在のGemini
GoogleがAI開発そのものを止めているわけではありません。
むしろ最近はFlashモデルの更新が異常なほど速くなっています。
2026年9月2日に登場したGemini 3.8 Flashは、3.7 Flashからわずか3週間後のリリース。Googleによれば、わずか6週間で3回目のFlash更新になります。
しかもGoogleは3.8 Flashを、これまでで最も優れた推論・コーディング性能を持つモデルと位置づけています。
速く、安く、幅広いサービスへ展開しやすいFlashを主力にする狙い自体は理解できます。
ただ私は最近、この「速さ重視」がGeminiの弱点にもなっているのではないかと感じています。
私がGemini Flashを信用できなくなった出来事
東京に行くことがあったので東京の「みそきん」の店舗をGeminiに場所を聞いてみました。
すると最初に返ってきた回答は、
「ヤエチカのラーメンストリートにあったけど、今はもうありません」
というものでした。

実際には池袋で営業しています。問い詰めるとやっと調べて回答してくれました。

もちろん、生成AIが間違えること自体はGeminiだけの問題ではありません。
ChatGPTもClaudeも間違います。
ただ今回気になったのは、質問の内容から考えれば明らかに最新情報を確認すべきだったのに、そのまま回答してしまったことです。
これは典型的な「存在しない情報を作るハルシネーション」というより、「古い情報を最新情報として断定してしまう」問題に近いと感じます。
Google検索を持っているのに検索しないという皮肉

GeminiにはGoogle検索を利用してリアルタイム情報を取得する仕組みがあります。
Google自身も、検索によるグラウンディングを使うことで最新情報を取得し、回答の正確性を高められると説明しています。
つまり技術的に検索できないわけではありません。
問題は、「今は検索すべきだ」と判断できるかどうかです。
私がGemini Flashを使っていると、最新ニュースや店舗情報など、明らかに現在の情報を確認した方がいい質問でも即答してしまう場面があります。
Googleが内部でどのようにWeb検索の発動を判断しているかは公開されていないため、速度重視のために検索を省いているとは断定はできません。
ただユーザーからすれば、内部事情はあまり関係ありません。
回答が少し早く返ってくることより、
「現実にある店を『ありません』と言わないこと」
の方が重要です。
Google検索という巨大な検索サービスを持つ会社のAIが、検索せず古い情報を答えてしまう。
ここにはかなり皮肉を感じます。
今欲しいのは「速いAI」より「信用できるAI」
生成AIが登場したばかりの頃なら、「多少間違っても、ここまで答えられるだけですごい」で済みました。
しかし今は違います。
旅行先を調べ、商品を探し、ニュースを確認し、仕事の資料を作り、プログラムを書く。
すでにAIは実用ツールになっています。
そうなると数秒の速度差よりも、「この回答を信用して次の行動に移れるか」の方がはるかに重要です。
速くて安いAIを作ること自体は間違っていません。
ただ、その結果として調査や確認が弱くなるなら、本末転倒です。
ChatGPTとClaudeは「仕事をするAI」へ進んでいる
さらに気になるのは、AI競争のルールそのものが変わっていることです。
現在のOpenAIやAnthropicが狙っているのは、単純に質問へ答えるAIではありません。
必要ならWebを調べ、コードを書き、資料を作り、複数のツールを使いながら作業そのものを進める方向へ進んでいます。
つまり「答えるAI」から「仕事をするAI」への変化です。
こうなると重要なのは、ベンチマークの数ポイント差だけではありません。
こうした判断力まで含めてAIの性能になります。
現在のGeminiで私が最も不安を感じているのは、この部分です。
それでもGoogleには圧倒的な武器がある

ここまでかなり厳しく書きましたが、それでもGoogleがAI競争から脱落するとは思っていません。
理由はGoogleが持つ巨大なエコシステムです。
Google検索、Android、Chrome、YouTube、Gmail、Google Drive、Workspace、Maps、Cloud。
日常的に使われるサービスの中へGeminiを直接組み込めることは、OpenAIにもAnthropicにもない強みです。
私自身がGeminiから完全に離れない理由もここにあります。
特にGoogle Driveの5TBストレージを含め、Googleサービス全体で考えると今でも非常に便利です。
本当に怖いのは利用者数ではない
Googleは巨大なサービスを持っているため、Geminiの利用者数そのものを増やすことはできるでしょう。
しかし、本当に問題なのは別のところにあると思います。
AIを積極的に使う人の「第一選択」からGeminiが外れることです。
私自身、Geminiには契約しています。
Googleサービスも毎日使っています。
それでも最初に開くのはChatGPTです。
調査でも文章作成でも開発相談でも、まずChatGPTを使う。
Geminiを開くのは画像生成の時が多くなりました。
利用者数が多くても、「何かを任せるなら別のAI」と思われるようになれば、Googleにとってはかなり厳しい状況です。
1年後のAI競争の勝者は誰なのか

では1年後、どうなっているのでしょうか。
私は今のところ、一社がすべてを独占する可能性は低いと考えています。
OpenAIは汎用AIエージェント、Anthropicはコーディングや企業向けAI、Googleは検索やAndroidなどと一体化した日常AIという形で、それぞれ違う場所に強みを持つ可能性があります。
ただしGoogleには大きな条件があります。
次のGemini 4で、フロンティアモデル競争に戻ってこられるかどうかです。
GoogleはOpenAIやAnthropicを圧倒する必要まではないと思います。
同じくらい賢い。
同じくらい仕事を任せられる。
同じくらい最新情報を正確に調査できる。
ここまで戻れば、Googleには巨大なエコシステムがあります。
一気に最有力候補へ戻る可能性があります。
私はGeminiに負けてほしいわけではない
私はGeminiを批判したいからこの記事を書いているわけではありません。
以前かなり好きだったAIだからこそ、今の状態が気になります。
画像生成では今でも強く、Googleサービスとの連携にも大きな可能性があります。
それでも今、「おすすめの生成AIは?」と聞かれたら、私はGeminiとは答えません。
以前なら違いました。
この変化こそが、現在のGeminiが置かれている状況を一番分かりやすく表している気がします。
1年後。
この質問への答えが、もう一度「Gemini」に戻っているのでしょうか。
その鍵を握るのが、次のGemini 4になりそうです。



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