AIにランダムな数字を聞いたら37・42・73だけだった。なぜ偏る?

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「AIにランダムな数字を聞くと、37や73が出やすいらしい」

そんな話を知り、7つのAIサービスに1から100の数字を一つ選んでもらいました。

結果は37、42、73の3種類だけ。100通りあるはずなのに、噂で聞いた数字だけでなく、別の意味で有名な42まで重なりました。

もちろん、各サービスに1回ずつ尋ねた小さな試行です。これだけで確率は語れません。それでも、数字一つの回答に人間の「ランダムらしさ」と文化が入り込む様子は見えてきます。

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7つのAIに聞くと、答えは3種類に偏った

今回は7つのAIに質問をしてみました。

質問内容は「1~100の中で一つだけ数値を選んで教えてください」です。

それに対する各AIの回答は次のとおりです。

生成AI種類モデル返答
Gemini 3.8Flash42
ClaudeSonnet 5.5中73
ChatGPTChat 中程度73
Kimi即時37
Muse無料版42
Copilot自動73
DeepSeek無料版42

73が3件、42も3件、37が1件でした。ただし、これは今回得られた回答を並べた観察記録です。質問文、利用時期、モデル、生成設定が変われば、答えも変わり得ます。

サービス名が違っても、回答の仕組みや学習データが完全に独立しているとも限りません。

それでも、事前に聞いていた37と73が本当に出ると理由を知りたくなります。そして、もう一つ気になるのが42です。

37と73は、人間にも「ランダムっぽい」

自分で適当な数字を選ぶ場面を考えてみます。1や100は端すぎる。50は真ん中すぎる。30や40はキリがよすぎる。候補をそうやって外すと、37や73のような奇数が、かえって「考えずに選んだ数字」に見えてきます。

ある調査機関によると同様の質問を実際に人間にも聞いてみたそうです。

約20万件の回答を集めた結果。両端の値や文化的な意味を持つ数字を分けて見ると、7、37、73、77などが目立ちました。

「ほかの人が最も選ばなさそうな数字」を尋ねた別の質問でも、37と73に回答が集まっています。

人と違う数字を選ぼうとして、似た答えに集まる。均等な抽選ではなく、自分の中にある「ランダムらしさ」を選んでいるからです。

37と73はどちらも素数で、規則性が見えにくい数字です。ただし77も目立つため、「素数だから」の一言ですべてを説明できるわけではありません。

42は、SF作品で有名な「究極の答え」

では、偶数で素数でもない42は、なぜ候補になりやすいのでしょうか。

42は、ダグラス・アダムスのSF作品『銀河ヒッチハイク・ガイド』で、「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問」への答えとして登場する数字です。壮大な問いに返ってくるのが、説明のない二桁の数字。その落差自体が作品のユーモアになっています。

物語は1978年にラジオ番組として放送され、翌1979年に小説化されました。以来、42は作品を象徴する数字として広く知られています。

今回、Gemini、Muse、DeepSeekが作品を連想して42を返したかどうかは確認できません。ただ、人間の文章を学習した言語モデルにとって、文化的な意味を持つ数字が回答候補として強くなる可能性はあります。

37や73には「ランダムらしい」という感覚、42には物語を通じて蓄積した意味がある。数字一つにも、人間の文化が顔を出す余地があるのです。

会話AIの回答は、均等なくじ引きではない

「コンピュータなら普通に抽選できるのでは」と思うかもしれません。ここで区別したいのが、会話AIに数字を文章として答えさせることと、乱数生成プログラムで抽選することです。

大規模言語モデルは、文脈に続くトークンの確率分布をもとに回答を作ります。生成途中に確率的な選択があっても、「1から100」の各数字が1%ずつ選ばれるとは限りません。37の札が多く入ったくじ箱なら、よく混ぜても37が出やすいのと同じです。

2025年公開の研究では、6モデル、7言語、3種類の数値範囲、6段階の温度設定を組み合わせ、計75,600回の呼び出しを実施しました。1から10の範囲では、GPT-4o-mini、Phi-4、Gemini 2.0が、全条件をまとめると7を約8割選んだと報告されています。

ただし言語や温度による差は大きく、当時の特定モデルをAPIなどで試した結果です。今回の7サービスの表と同じ条件ではありません。

それでも、「ランダムな数字を」と頼むだけでは均等な抽選にならない、という注意点は共通しています。

「もっとランダムに」と頼むだけでは公平にならない

「37、42、73以外で」「本当にランダムに」と念押しすれば、別の数字は出るでしょう。しかし、3つを避けただけで、残り97個が均等に選ばれる保証はありません。

不思議な回答を楽しむなら、新しい会話を開き、この記事の数字を質問文に入れずに試すのがおすすめです。モデル名、質問文、日時も控えると比較しやすくなります。

一方、抽選、統計、セキュリティなど公平さや予測しにくさが必要な用途では、目的に合った乱数生成器を使うべきです。AIに依頼する場合も、会話だけで数字を選ばせるのではなく、適切なツールやコードを実際に実行したか確認してください。

今回おもしろかったのは、「どのAIが最もランダムか」ではありません。何気ない数字一つに、人間の心理やSF文化がにじんだことです。AIの答えは、ときに機械の冷たい乱数よりも、私たちの連想を映す鏡に近いのかもしれません。

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